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犬山×こども×大人×てつがく×対話


by 犬てつ
7月13日(土)「こどもと大人のてつがくじかん」(@犬山図書館)開催しました。

犬てつリピーターの子たちが部活やら何やらで忙しい頃あいなので、今回はこじんまりとした会になるかなと思っていたのですが、蓋を開けてみるとびっくり。はじめての方や、久しぶりの方など、犬山だけでなく、名古屋、豊川、小牧、扶桑などからもいらしていただいて、小学3年生くらいから60代くらいまでの、総勢15名という参加者でした。
予約不要で図書館で開催できるというのは、参加しやすくなって本当にありがたい。

「同じ」だとなんで嬉しい?_e0382901_14582123.jpeg

今回のテーマは「同じ」だとなんで嬉しい?
前に「絵本でたい話」で『おんなじおんなじ』『おんなじおんなじももんちゃん』で「同じ」をテーマに話したとき、「なんで同じだと嬉しいと思うんだろう?」という問いがでてきたので、今回それをもう少し深めて考えられればと思いました。

まずはじめに今日呼ばれたい名前を決めてもらいます。なんでも自由に決めてもらっていると、だんだんと本名でいいです、という人が増えてきたので、最近は一つのテーマを決めてそれにまつわる名前をつけてもらっています。(本名だと、リピーターさん同士はすでに知っている一方で、はじめての人は覚えられないということがあり、最初からフラットではないスタートになりがち。また、テーマを設けることで、その人が何に興味があるかとか、その人となりも垣間見れたりして面白いです。)
今回は「スポーツ」のテーマになって、「バドミントン」「たっきゅう」「バレー」「バスケ」「水泳」というメジャーどころから、「反ぷくよことび」「ボッチャ」「ボッチャ2」「ちょうざたいぜんくつ」「カバディ」といったちょっとひねったものまで、いろんな名前が出揃いました。

みんなの名前が決まったところで、
この場の心構えをお話して、
『おんなじおんなじ』『おんなじおんなじももんちゃん』の2冊の絵本を読んでから、
対話スタートです。

同じだと「安心感」がある。というお話しからはじまりました。
自分と相手の好きなものが同じだと、価値観が一緒だと思える。
スポーツとかで同じユニフォームだと一体感が生まれる。

一方で、中学のときに制服を着ないといけないのが苦痛だったという話をシェアしてくれた方がいました。
「同じ」にしないといけない、自分らしい服装をさせてもらえない、という「強制」があると、「同じ」は嬉しくない。

制服ははじめ嫌だったけど、服を選ぶ面倒くささがないからよかった、という話から、「嬉しい」というよりは「楽」なのかも、というお話しも。
そして、制服という「同じ」なかでも、ネクタイピンとかで違いを楽しむこともできる。

さらに、自分の身体が標準サイズではないので、制服があることで、はじめて「同じ」になれた喜びもあったという経験談も。
「同じ」でないことによって「差別」されてきた感覚がある人にとっては、「同じ」であることはある種の対等性を確保できることでもある。

「目に見える」形での「同じ」は強制につながりやすいけれど、
「気持ち」といった目に見えない「同じ」は安心感につながりやすい?と、
目に見えるかどうかの違いが関わっているかもしれないという考察もでてきます。

でも、目に見えない気持ちでも、同じ人を好きになったら、嫌だよね。
自分のとっておきの服装が誰かと同じでかぶっても嫌な気持ちになる。
でも、アイドルとかだと同じ好きな人がいると同士に思える。
離れたところで出身地が同じ人に出会うと嬉しくなる。
「同じ」で嬉しくなるかそうでないかは、自分の優先順位に関わってくるのかな?
その境目はどこにあるんだろう?

これまで「同じ」で考えてきたけど、ちょっと考え方を逆にして、「違う」で考えてみたらどうだろう? 「逆張り」って言葉にもあるように、違う方がかっこいいっていう感覚もあるよね。
「浮く」って言われるけど、それがどういう状態なのかよくわからない…。
否定的な意味で使われてるのはわかるんだけど、人と「違う」のと「浮く」のとはどう違うんだろう。

「違う」のがイヤだったりよかったり、
「同じ」がイヤだったりよかったり、
それぞれ状況によって違うけど、どこに境目があるんだろう?
ということを巡りながら、
それぞれの経験をもちより、螺旋階段をあがるように、少しづつ問いを吟味していくような時間をもつことができました。

最後に、ずっと話を聞いていたはじめての参加のこどもが、ついさっきあった出来事として、ランチに弟が自分と同じサンドイッチを選んだら、真似されたと思ってイヤだったというエピソードを教えてくれました。なんで自分は同じだとイヤだと思ったんだろう?
こういう「考えるスイッチ」が入って、みんなにシェアしたくなる瞬間に出会えるのも、てつがく対話の醍醐味です。

他にも、
制服といった「モノ」ではない、「時間」の感覚の「同じ」という話であったり、
盆踊りといった(強制ではなく)「同じことをする」ということで陶酔的になるような一体感の話とかも出てきました。

「同じ」というテーマから派生して、
自分のなかで混然となった「気持ち」や、
強制、価値観、差別、一体感、優越感、陶酔など、
「社会」の成り立ちのいろんな問題について、
どの世代でも何かのひっかかりをもてるような時間だったと思います。

今回は「同じ」という広いテーマだったので、
いくつかの問題系が林立する形となりましたが、
次は「同じ」というテーマのなかでも、もう少し具体的な「問い」を設定して、対話できる機会があればと思います。
たとえば、「毎日、同じ制服を着ていてもなんとも思わないのに、毎日同じ私服を着ていると恥ずかしく思うのはどうして?」という問いも面白そう。(規律、フィクション、公私、恥とか、いろいろ掘り下げられそう??)

ということで、もっと話してみたいという思いがつのる対話でした。
ご参加のみなさま、ありがとうございました!

次回は9月14日(土)2-3時半となります。
図書館のボランティアルームを予定してましたが、今回はじめて利用させてもらった視聴覚室の丸い円形空間が結構良くて、また視聴覚室にするかもしれません。(時間がなくて写真を撮れなかったのが残念ですが、、、椅子席でもゴザ席でもどちらでもよくて、くつろげる空間でした。さらに、うぐいすの鳴き声がたまにかすかに聞こえてくるんです。)

みなさまのご参加お待ちしてます。
(8月の「絵本でたい話」はお休みです)

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# by inutetsu | 2024-07-15 15:00 | 子どもと大人のてつがく対話