犬山×こども×大人×てつがく×対話


by 犬てつ
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9月8日(土)犬てつ(9) 開催しました♪ 

8月の出前講座をはさみ、夏休み明け早々の犬てつです。
参加予約の出足が鈍かったので、今回も子どもと大人の合同でと思ったところが、
蓋を開けてみると、はじめての参加者が複数組の20人を超える満席です。 

進行役は安本志帆さん。
テーマは「宇宙人に会ったら何話す!?」。 

夏休み明けなので、「学校」や「勉強」のテーマもいいかなとも思ったのですが、
実践講座で前にやった「魚は何を考えている?」という、
明らかに正解のない、自由で気楽で、
でも、深い話につながるきっかけがたっぷりな問いの魅力がわかったこともあって、
志帆さんからの「宇宙人」の提案にこちらもノリノリです。 

対話に入る前のアイスブレイクは、
「哲学カード」を用いたフルーツバスケットのようなゲーム。

カードのなかから気に入った問いを選び、自分がそうだと思う答えを言って、
それに賛同する人が席を移動し、あぶれた人が次のカードを決めて読みます。 

「泥棒を好きになれる? なれない人は動いてください!」
「おばあちゃんが間違えたことをしていたら注意してもいいかどうか。いいと思う人!?」
「上手に描けた絵なのに、綺麗じゃないってことある?ないと思う人!」
「お父さんが赤ちゃんを産めるようになったら、嬉しい人?」 

「哲学カード」はちょっと難解な問いもあり、
使うのは結構難しいな、という気がしていたのですが、
こういう使い方は面白い!

自分の考えを感覚的に瞬時に判断し、
他の人の様子もうかがいながら、
席を争う!
考える頭のギアが一気に加速してきました。 
 
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*****

さあ、そんなところでてつがく対話のはじまりです。
まずはそれぞれに考える宇宙人の絵を紙に描き、どんな宇宙人を描いたのか発表します。 

・どこかで見たことのあるような「宇宙人」のイメージがインプットされている
・ツルツルしたクラゲっぽい質感
・モヤモヤしていて見えないか、どこにでもいるようなもの
・宇宙人はいない
・こんなのがいたらいいなと思って、三つ目だったり、手がいっぱいある宇宙人を描いてみた
・手のひらの上に乗るくらい小さい宇宙人
・妖怪みたいなもの
・いくつか描いた宇宙人のなかでも、一番可愛いくみえるのが毒をもってて、しかも見えない
・タコイカ的な宇宙人のイメージにとらわれて抜け出せないけど、なんとなく水のなかに生きてるような気がする
・アメーバ―みたいだけど、光合成や宇宙にある元素で生きていける葉緑素的なセンサーがついている
・お化けみたいになった
・すごく小さくて、人間の9分の1の大きさ
・火星に住んでる宇宙人は赤くて、太陽に近い星にいるのは水分がないので灰色 

絵に描いてみると、それぞれのイメージが似通ってたり、違ったり、
ディティールにこだわっていたり、大ざっぱだったり、
それぞれの宇宙人に対するイメージが具体的に見えてきます。 
 
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そして、描いた宇宙人を床に広げて対話をはじめます。
 
「宇宙人はいないと思った人もいるね」と志帆さんが話しはじめると、
すかさず、「いないと思ったけど描いた!」という子も。

じゃあ、
「何でいると思うのか」、「何でいないと思うか」
をまずは話してみようということで、
「いる派」「いない派」「どちらでもない派」で理由を話します。 

「宇宙人はいる!多分いる」派の意見は、

・地球にいるなら宇宙にもいるはず
・人間だけだとつまらないから宇宙人がいた方が面白い
・何億個もある星に一つくらいはいるかも 

「いない!」派の意見は、 

・いたらもう発見されているはず
・おとぎ話 

「どちらかわからない」派は、 

・水がある星もあるって聞いたから
・住みやすい星があればいるかも
・太陽に近いと宇宙人も溶けちゃうかも 
  

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―今までの話は地球の外にいる宇宙人の話だけど、もし地球にいたらどうする?

という問いに答えて、 

・人間にとって住みやすいところは、宇宙人にとっては住みやすくないかも
・地球には宇宙人がいると思う。見えなかったらいるかどうかわからないけど、変な事が起きるときは宇宙人がやっていると思う。
・人間にとって「草」とか思ってるものも実は宇宙人で、人間がいないときに動いているかも

 ―宇宙人は動くもの? 

・動く!宇宙人だから。
・動く宇宙人もいるし、動かない宇宙人もいる
・人間が見てないときに動いてる!人間が起きる前に元の場所に戻ってる
・見えない宇宙人は地球でも動いているかもしれないけど、見えないからわからないだけ

―もしかしたらこの「ペン」も宇宙人かも? 

・宇宙人はいると思うけど、「ペン」は人間が作ったものだから宇宙人じゃないと思う。宇宙人は誰かが作ったものではないはず。 

この話をきっかけに、「ペンは宇宙人かどうか?」で話がはずみます。 

―ペンは宇宙人じゃない?

・でも、材料に宇宙人が含まれてたら宇宙人かも?
・人間が作ったものじゃなくて、自然のものは宇宙人かも
・もしかしたら宇宙人が人間の脳に入りこんで、こういうものを作れ~と操作してるかも
・確かに人が作ったものだけど、その後に見えない宇宙人が憑りつけば宇宙人になるかもしれない
・宇宙人は菌糸性で、ペンには宇宙人のばい菌が憑りついてるかもしれない。

はじめは宇宙の彼方にいる遠い存在だった宇宙人が、
対話を進めていくことで、だんだんと身近にいるものとして想像がふくらみます。 

そんなとき、それまで発言してこなかった子どもから
こんな意見がポンッと飛び出します。 

・「宇宙人」という言葉があるから宇宙人はいる。 

言葉と存在の問題です。
みんな少し虚を突かれた感じで、一瞬場が静まります。
そして、 

・地球も宇宙だから、私たちも宇宙人 

という話がでてきて、
みんながなんだかざわついて、
納得したような納得しきれないような雰囲気が漂ったところで、
いよいよ今回のテーマに移ります。 
 
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―宇宙人に会ったら何話す? 

・どんな宇宙人かによる! 

ということで、絵のなかから宇宙人をいくつかのバージョンに分けてみます。
でてきたのは、次の三つ。 

・「人系」
・「よくわからない系、丸味系」
・「タコイカ系」 

まずは「人系」に会ったときの話。 

・どこに住んでるの?
・何食べるの?
・キッチンある?
・私にできるこんなこと、あなたはできる?
・名前は何?
・何語しゃべる?
・話が通じないかもしれないからジェスチャーでやる
・おなかすいてる?
・どれくらい遠い星から来たの?
・楽しいとか嬉しいとか悲しいとかの感情はありますか? 

「食べる」ことに関する問いがちらほら。
ある地方では、初対面の人にもまずは「腹減ってないか?」というような挨拶するという話を聞いたことがありますが、子どもにとっても「食べる」ことが重要な意味をもっている様子。

次は「丸味系」に会ったとき。 

・どうしてそんなに丸いの?
・人間とまったく形が違いので、感情もジェスチャーも通じるかわからないので、まずは警戒して攻撃してこないか様子を見る
・同じ言葉が話せるか確認する
・どんな形に変われるの?
・地球のすべての言葉で話しかけてみる
・猫と仲良くなる時のように、見つめ合って、言葉じゃない言葉で交流する 

じゃあ、「タコイカ系」は? 

・ナイフで切って食べちゃう
・切って食べたり、刺身にする
・しゃべれるんだったら、「あんた食べていい?」って聞く
・食べる前に毒をもってないか安全か調べる
・食べずに一緒に遊ぶ
・海の植物だからベトベトしてる感じ 

ここでも「食べる」ことが基本のようです!
宇宙人を通して、「食べる」ことについての哲学的なテーマも考えられそうです。 

そういえば、私にとってずっと心の片隅でくすぶり続けている宇宙人も、
「食べること」に関係するものでした。
小さい頃に愛読していた手塚治虫の漫画に出てくる宇宙人。 
その宇宙人は、どこかの星で地球人と一緒にさまよっているのですが、
宇宙人も地球人も、食べ物が見つからずへとへとになってしまいます。
そのとき、その宇宙人は自分の身体の一部を切りとって、
地球人に食べるように差し出すのです!!!!
最初は戸惑っていた地球人は、いつしかそれに慣れてきて、
お腹がすくとその宇宙人を食べるようになる。
そうして、いつしか宇宙人は小さな固まりになって動かなくなってしまう。
利他的な宇宙人と、利己的の地球人のありように、
私は心底衝撃を受けたのでした。 

それはさておき、
最後に何系にも当てはまる問いがでてきます。 

・どうやって生きているの? エネルギー補給はどうしてる?
・地球は生きやすい?
・人間と同じように息してる?
・どこ(宇宙?地球?月?)のどこ(土?海?山?)に住んでる?
・住んでいる星はどんなところ?
・他にも君みたいな宇宙人はいるの?
・仲良しになったら一緒に君の宇宙に行ける? 

というところで時間がきて終了となりました。 
 
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*****

最後に志帆さんから初めての参加者の方に
犬てつでのてつがく対話の心構えとして、

・話を座って聴くことを良しとはしていない
・ここで話をすることだけを目標とはしていない
・対話はここで終わるのではなく、家に帰っても続いている 

というような説明がありました。 

犬てつに参加する子どもたちの、
ごろごろ寝転んだり、押し入れにこもったり、他の遊びをしだしたりといった様子は、
はじめて参加する方々にはそれなりの戸惑いがあるように思います。
そういう私も初めのうちは、これでいいのか??とずっと自問していました。
でも、そうした場だからこそ安心して参加できる子どもがいるし、
がっつり対話したい子も、気負わず対話を続けていけたりもする。

今日の対話も、最後の方は、話しを続けたい子どもたちが輪に残り、
他の子どもたちは、まわりでわいわい遊んでいました。
でも、アンテナはピピっと張っていて、要所要所で話に入ってきたりもします。 

途中から寝転んでほとんど発言しなかった子に後で話を聞いてみると、
いっぱい頭を使って疲れた~と言っていました。
家に帰ってから安心して話せたと言っていた初参加の子どももいます。
がっつり話すことが好きなリピーターの子も、
一筋縄ではいかないような、いろんな意見に触発されて、思索を深めていたりもします。 

今回とても心に残ったエピソード。
「宇宙人はいない」と言って、何も描かない子どもがいました。
返しそびれた絵の中に白紙が混ざっていたのでよけていると、
子どもたちが、これは「宇宙人はいない」って言った子の紙だから、
絵の方だよと教えてくれました。
なくてもある。発言しなくてもそこに居る。
子どもたちはそれを当たり前のこととして受け止めているようでした。
 

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だから、犬てつはこんなスタイルで、
しばらくは様子を見ながら続けていきたいと思います。
でも、いいところばかりではなくて、改善できるところもいろいろあるはず。
実践を重ねながら、考えていきたいと思っています~
参加された方々からの貴重なご意見、ご感想、いつもありがとうございます♡

*****

さあ、次はまたちょっと時間があいて、11月10日(土)の開催です。
次回はまたちらしを作って犬山市の全小学校に配布予定。
出前講座でやったような、絵を使っての「アート×哲学対話」をやってみようと思います。
去年は、あっという間に満席になってしまったので、
大きな会場を借りて人数多めで募集します。
詳しくはまたご案内しますが、ご興味のある方は予定を空けておいてくださいね。

(犬てつ ミナタニ)



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# by inutetsu | 2018-09-10 11:33 | 子どもと大人のてつがく対話 | Comments(0)