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犬山×こども×大人×てつがく×対話


by 犬てつ

こども哲学 実践WS(1)「こどもの哲学って何?」 

5月22日(火)「こども哲学 大人のための実践WS(1)」 開催しました♪ 

今年度からの初の試みである、大人のための実践ワークショップ。
犬山から4人、名古屋から2人、関から1人の7名が参加してくださいました。
こども哲学の場を作りたい、哲学カフェを開催したい、子どもから言葉をもっと引き出して会話を楽しみたい、ファシリテーションに興味があるなど、みなさんそれぞれのモチベーションをもたれています。 
   
第一回目のテーマは「こどもの哲学って何?」 
 
まずは志帆さんから「こども哲学」について、
ニューヨークのコロンビア大学でマシュー・リップマンがはじめた実践や、
世界各国での動向などの簡単な説明があります。 
 
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韓国では国公立大学の入試に哲学が取り入れられているケースもあるようですが、
学校のカリキュラムに組み込まれたときの「評価」はどうするのかといった問題など、
学校でてつがく対話の場があるといいなという理想の前にはいろいろとクリアしないといけない事情がたくさんありそうです。 

今回は哲学対話がはじめての方もいらっしゃったので、哲学対話についての説明から。 

1 ゆっくり考えよう
2 お互いの意見を聴き合おう
3 考えが変化することを楽しもう 

子どもをてつがく対話に参加させたいと考える親御さんには、
子どもが人前で話しができるようにと考えている方も多いようですが、
こども哲学では話すことをのばすことが目的ではない!ということをまずは確認。 

円すいも切りとり方によって、切り口が〇や△や□に見えるように、
物事は、自分の見方、相手の見方、どこから見るかによってまったく違います。
てつがく対話はそうした見方の違いを聴くことによって知ることがとても大事。
話すことよりも聴くことが大事。
考える=参加している。 

子どもより大人の方が聴くことができていないというところで、話は盛り上がります。
大人は自分に都合のいい解釈をしたり、自分で完結していたりするので、
話しをしていても実は聴いてないことが多い。
子どもは放っておいても対話が深まっていくことが多いけれど、
大人は常識や思いこみが邪魔をしてなかなか対話が深まらないことが多いなど、耳の痛い話も。 
 
次いで、哲学対話を実際にやってみます。
今日の哲学対話に志帆さんが用意してきてくれた問いは、
「魚は何を思っているの?」 
 
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まずは、それぞれの考えやエピソードがでてきます。
・家の魚は餌をもらうのを待っている
・魚は住んでる場所しか知らないから、そこで満足してる
・水の肌感覚のようなもので、気持ちいいとか悪いとか考えている 

といった話しから、
・それって考えているのかな?感じているのかな?という疑問がでてきて、
 志帆さんから、「思うって何?」という問いが新たにだされます。 
・事実ではない考え
・感情も含めて自分にあるもの 

「考えてると感じてるの違いは?」 
・「考える」はコントロールできるけど、「感じる」は止められない
・「思う」は「感じる」と「考える」の間。 

「魚に感情はあるの?」 
・生命を維持するためのいろんな感情はある
・餌をやり忘れると魚は怒ってると感じるけど、それは私が思っているだけ? 

といったところで時間切れとなりましたが、
志帆さんがピンポイントで投げ込む問いによって、
「魚の思い」→「思うとは何か」→「感情と思考の違い」→「感情は誰が持っている?」
と、話のレベルが少しづつずらされて広がっていくのを実感しました。 
 
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進行役にもいろんなスタイルがあるけれど、
志帆さんの今回の進行は、子どもを相手に対話をリードするやり方に近い感じだったようです。
「哲学カフェ」と「子ども哲学」の違いに話は及びますが、
子どもの場合、小学生くらいだとまだ子どもたち同士で対話を進めるのは難しく、
進行役が適宜問いを差し込むことが有効なようです。
でも、それも何かの答えを誘導するような形ではなく、
最初の問いを意識しながら、長いリードをギュッと持って、
子どもたちが迷子になりそうになるとキュッと引き戻す感じ。 

でも、一番大事なのは、子どもを子ども扱いせずに、
一つ一つの発言を、大事にきちんと受けとめること。
子どもたちを信頼すること。発言や言葉だけからでなく、
ちょっとしたアクションや表情といったノンバーバルなところから、
子どもの気持ちを知ろうとすること。 

進行役のあり方は、
ワークショップ2回目「「進行役」とはどんな役なのか」
ワークショップ4回目「個性を進行にどう活かすか」
にも関わってくる話なので、次回以降も楽しみです。 

その後、振り返りの時間を持ちます。 
 
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志帆さんから、てつがく対話は結論を出すことが目的ではなく、
それぞれがモヤモヤとした考えを持ち続けるのがいいところだという話があります。
逆に、モヤモヤせずにスッキリ終わってしまう時は、どうしてそれが起こるのでしょう? 

・ファシリテーターが対話を誘導して何かの答えにもっていこうとするとき
・同じような人が多くて、別の視点が入ってこないとき
・問いの形がうまくないとき 

なかでも、この「問い」の形は、対話のなかでの重要なポイントとなります。
いい問いじゃないと、対話はやっぱり深まりにくい。
今回出された問いの「魚は何を思っているの?」も、
「魚は何を感じているの?」とは違って、「思う」だから良かったという意見もでてきました。 

でも、最初の問いにずっと縛られている必要はなくて、
そこからどんどん面白い対話に発展すれば、その流れに身を任せていけばいい。
深まりにくい対話のなかにも、良い問いは隠れている。
それを信じて、人の話を聴き、考えを巡らしながら、対話をつづける。
それが哲学対話のあり方なのかとも思います。 
 
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志帆さんの全8回のワークショップのなかで、
自分の考えがどういう風に変わったり、変らなかったりしていくのか。
最終回ではもう一度、「「哲学対話」とは何か②」を考えます。 

そんなこんなで、あっという間に時間が過ぎていったワークショップ第一回目。
期待以上に楽しく、充実した回となり、とても素敵なスタートをきることができました。

次回は6月12日(火)の開催です。
テーマは「進行役」とはどんな役なのか。
みなさまのご参加お待ちしております! 

ミナタニ 


by inutetsu | 2018-05-24 10:04 | こども哲学 実践WS