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犬山×こども×大人×てつがく×対話


by 犬てつ

夏休みこどもカルチャー講座 犬てつ出前講座


夏休みこどもカルチャー講座 犬てつ出前講座 開催しました♪
 
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こどもてつがく ~考えるを楽しもう~
1)10時~11時 てつがく散歩
2)11時半~12時半 てつがく×アート
3)13時半~15時 てつがく対話&てつがくカードを作ろう

日時:8月18日
場所:犬山南部公民館
進行役:安本志帆さん

「NPO法人こどもサポートクラブ東海」さんが
毎年夏に開催している「夏休みこどもカルチャー講座」は、
子ども向けのいろんな体験できるワークショップやイベントが目白押し。
犬てつも初参加で、てつがく対話のワークショップを開催することになりました。
普段の犬てつではやったことのない、いろんなアクティビティを取り入れた三講座です。

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1)「てつがく散歩」

はじめに志帆さんが用意してくれた言葉を参加者がくじのようにして引き、
自分だけで言葉を(心のなかで)確認します。
そして、散歩に出発です。
会場となった南部公民館から少し歩いたところには、
源頼朝の愛馬磨墨を葬ったとされる塚のある磨墨公園や、
小牧・長久手の戦いの際には、秀吉方の砦として守備された羽黒城址の竹林園などがあります。
のどかな田んぼ道を歩いて、公園をめざします。
 
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てつがく散歩のルールは簡単。
散歩中に自分がひいた言葉にぴったりだと思う場所をみつけたら、
みんなの前で言葉を披露。
どうしてそう思ったかを伝え、ほかの参加者は、そこで浮かんだ問いを投げかけます。
その場ではそれ以上の話はせず、
言葉を披露した人はその問いのなかから一つの問いを選んで、
持ち帰りながらじっくりと考えます。

志帆さんが選んできてくれた言葉は子どもにもわかりやすい、
ドラエモンの言葉や、金子みすずの詩から引かれた言葉でした。
 
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ぴったりの場所がみつからなかったり、
通り過ぎてしまって最後まで披露しそびれてしまった子どももいましたが、
言葉を頼りに自分なりの風景を発見し、
思ってもいないような質問を受けることで、
いつもとは違った集中力を要する散歩になります。

稲の下の水のなかにたくさんの貝や生き物をみつけ、
通りすぎた後に、そこが自分の言葉にふさわしい場所だったことに気がついた子どもや、
時間は二度とかえってこないものかどうかを、夏休みの海外旅行での時差の経験から考えた子どももいました。

志帆さんによれば、てつがく散歩は質問力が重要になるとのことでしたが、
なかなかいい問いをその場で考えだすことは難しい。
でも、青空の下、「時間」や「違い」、「美」について考えたてつがく散歩は、
普段とは違う考え方が湧き上がるきっかけになりました。 
 
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2)「てつがく×アート」

用意したのはアンリ・マチスの切り絵の版画。
抽象的なところもありますが、人や海藻のような形が見て取れる絵から、
子どもたちの想像の世界はどんどん広がります。
 
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普段の犬てつでは集中力がなかなか続かなかった子どもも、
今回の絵を使った対話では次々と自分の感想を言って場をひっぱってくれます。
 
・色によって海藻の種類が違う
・サボテンみたいにも見える。大きいのはボスサボテン
・音符みたいにも見える
・手をあげて喜んでいる
・バレエみたい
・ウサギに見える
・色のラインは何だろう
・ヘビみたいにも見える
 
Q 絵のタイトルをつけるとしたら?

・「サボテンの逆襲~そしてはじき返される」
・「ヘビと人間の踊り」
・「ウサギと人間のスピードかけっこ」
・「人間がわかめに巻かれる」
・「わかめに会えてうれしがる人間、そしてウサギ」
・「ウサギと人間と飾り」
・「人間が食べておなかから出ようとするわかめ」
・「海のバレエ大会」
・「ウサギと人間の協力バレエ」

みんなが次々と独創的なタイトルをつけてくれます。
 
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次に、みんなで「問い」を考えます。

・赤いのは何だろう?何をしているんだろう?
・絵に描かれているモチーフは合わさって一つの絵なのか?
・くりぬかれているわかめのようなものは何なのだろう?
・結局この絵は何なのだろう?
・何をあらわしているのだろう?
・本当に海のなかなのか?陸なのか?
・バレエをおどっているのか?
・絵の題名は何だろう?
・誰が描いた絵なの?
・色を分けている理由はあるのか?
・なんで白、灰色、水色が多いのか?
 
絵の内容やタイトルといった、「答え」を求める問いもたくさん出てきましたが、
最終的に全員一致で選んだのはこの問いでした。

「色を分けている理由はあるのか?」

子どもたちは意識的か無意識的にか、正解が簡単にはでてこないような、
てつがく的な問いである「色」を選び、
考える楽しみが多い方を直感的に選り分けたことに驚かされます。

・絵を描くときには色は現実のモノの色を見て決める
・好きな色を自由に使う
といった話から、
「表現」するとはどういうことかということや、
「色と気持ち」、「リズムと音」の関係や、
「言葉と音の色」といった話しにまで対話は広がっていきます。

絵を触媒にしながらも、具体的な絵の内容だけではなく、
そこから広がる芸術や、感性の問題にまで触れることができたのは、
とても豊かで創造的な時間でした。 
 
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3)「てつがく対話&てつがくカードを作ろう」

前半で「てつがく対話」をしてから、
後半では自分で考えた問いについての「てつがくカード」を一人一人で作ります。

今回準備しておいた「てつがく対話」の問いはこれ。

Q 虫や魚は採って遊ぶのに、人はどうして採って遊ばないの?

・魚や虫に「採らないで」って言われたら採らない
(でも、人間にはわからない言葉で言ってるかも?)
(言葉の代わりに黄色い液体とかを出して全身で訴えている?)
・自分がつかまえられるのが嫌だから、人は採らない
・虫の言葉がわかって「採らないで」と言われたら採らないし、謝る。

どうやら言葉が通じるかどうかが重要な決め手のようです。
 
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Q 人間の赤ちゃんも言葉で「嫌」って言えないから採ってもいいの?

・お母さんがいるから採っちゃだめ
・同じ人間だからダメ
・でも、もしみんながやっていて、警察もつかまえなかったら、「赤ちゃん採り」やるかも
・でも、採ってきて育てる自信がないから、親に確認する
・採ってきた赤ちゃんは家族ではない

問いはここから前回の犬てつでもテーマにした、 
Q 家族ってなんだろう? という話にも広がります。

いくつもの問いが交差して、モヤモヤとした気持ちが高まったところで、
次はてつがくカードを作ります。

一人一人が頭をひねってカードにしたためた問いにはこんなものがありました。

・「人にはなぜ男と女があるんだろう?」
・「なんで嫌いなものを食べろというの?」

そして、自分なりの答えを考え、
そこからさらに浮かび上がる問いを志帆さんが投げかけて、
それぞれに考えを深めていきました。
 
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ほとんど発言しない子どもも、一人一人が自分なりの問いをもち、答えがあります。
でも、普段ならぼんやりそう思っているだけにすぎない問いと答えを
時間をかけて深めていくことで、
それまで考えてもいなかったようなことに気がつき、
いままで見えてなかった世界が見えてくる。

短時間のワークショップでしたが、はじめててつがく対話をした子どもたちも、
自分に向き合い、いろんな考えを頭に巡らせながら、
自分だけのてつがくカードを作り上げ、大事に持ち帰っていきました。 

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これまでの犬てつではやったことのない試みばかりでしたが、
少人数で取り組めたので、じっくり、ゆっくりした時間がとれて、
それぞれのペースで考えが深めていけたように思います。

また、いつもの犬てつメンバーとは違った子どもたちに触れることで、
子どもにもいろんな考えるタイプがあることを実感します。
ぐいぐい発言する子ども、聞いてないようで聞いていて要所でポンと発言する子ども、自分のなかでじっくりと問いをあたためようとする子ども、芯が強くて考えることはあるんだけどそれを表現する言葉がまだ追いついていなくて考えを取り扱いかねている子ども、一旦言葉を発しはじめると溢れるように話しはじめる子ども、周りの様子を観察しながら気持ちを小出しにして話す子ども。

いろんなタイプの子どもたちがいるけれど、
それぞれのやり方で対話の場に参加しながら、
耳を傾け、頭と心を研ぎ澄ませ、思考を紡ぎだしている。
そこから漏れ出る一つ一つの言葉は、
どんなに拙くても、あるいは拙ければ拙いだけ、
一人一人から生み出された言葉であることがわかります。
借り物ではない自分の言葉を紡ぐのはなかなかに難しいけれど、
借り物を使いつつも身体から出てくるような言葉。
そうしたものに出会える宝箱を開けるような瞬間がいくつかありました。

今後の犬てつの活動につながるヒントもたくさん。
「てつがく散歩」は、てつがく対話の経験がないとちょっととっつきにくいかな、
わいわい話せるようなルールを新しく考えた「お散歩てつがく」があってもいいな、
「アート×てつがく」はまた犬てつでもやってみよう、
「てつがくカード」は時間をかけて自分の考えを練り上げたい子にはぴったりだな、
などなど、いろいろな考えが浮かび上がる刺激的な一日でした!!

さてさて、次回犬てつは9月8日(土)です。
まだまだ参加者募集中ですので、みなさまのご参加お待ちしております ^^

(犬てつ ミナタニ)



by inutetsu | 2018-08-21 16:59 | その他のアクティビティ