てつがく対話で男女共同参画 テーマ「ずるい」
2019年 02月 05日
2月2日(土)犬山男女共同参画市民会議「きらきら」&犬てつ(犬山×こども×大人×てつがく×対話)のコラボ企画を開催しました🎶
午前の部レポートです。
10時~12時 【てつがく対話で男女共同参画】
テーマ:ずるい!?
進行役:松川絵里さん(カフェフィロ副代表)
安本志帆さん(みんなのてつがく CLAFA主宰)
参加者:大人20人 子ども16人
進行役には犬てつでおなじみ安本志帆さんのほか、
毎日小学生新聞で「てつがくカフェ」を連載されている松川絵里さんをお迎えしました。
市の広報を見て興味をもって来てくださった方や高校生など、
いつもの犬てつとはまた一味違う、5歳から60歳代までの幅広い年代・層の参加者です。
キャンセル待ちもでましたが、できるだけ多くの方々にご参加いただこうと、
定員を上回る総勢40人近くの、大盛況の会となりました。
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午前の部は「てつがく対話で男女共同参画」。
進行役の松川絵里さんと安本志帆さんとの事前の打ち合わせで、
「男女共同参画」ということで、
「平等」「性差」「らしさ」などのトピックスを考えるなか、
子どもと大人で同じテーマで対話ができるようにと、
子どもにもとっつきやすい「ずるい」というテーマに決めました。
全体の進行は松川絵里さん。
今日はてつがく対話がはじめての参加者もたくさんいるので、
てつがく対話についての問いかけからスタートします。
Q もじゃもじゃボール(コミュニティー・ボール)の使い方を知っている人? 使い方を教えてくれる人?
という問いかけに、犬てつリピーターの子どもたちを中心に、5,6人から手が挙がります。
―ボールをもっている人が話す。
―ボールをもっている人の話を聴く。
―話したい人は手を挙げて、ボールをもらってから話す。
Q てつがく対話って何ですか?
―自分の意見を言ったり、相手の意見を聴いたりして、話し合う。
Q 何のためにそれをするのかな?
―なんでだろうと思うことを、いつもは一人で謎解きするのを、「みんなで謎解き」をする。
それを聞いた絵里さんは、
「「謎解き」って説明の仕方は今まで知らなかった!大発見!!!」と大喜び。
そして、
「こんな発見があるのがてつがく対話の面白さの一つです。
途中でわからないことがあったり、こんなこと言っていいのかなと思うことも全部言ってもらえれば、みんなの謎解きのヒントになるかもしれません。
進行役が聞きそびれてることなんかがあっても、みんなで助け合ってください」
ということで、
まずは大人と子どもが一緒になっての準備体操ならぬ準備おしゃべりからはじめます。
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「男女」のテーマと「ずるい」のテーマにもつながるようにと、
前もって考えておいたのはこんな問い。
Q 生まれ変わったら男か女かどっちになりたい?
―ぼくは女になりたい! 鶏のオスは卵をうめなくて早く殺されちゃうけど、卵を産めるメスは生きられる。
―学校で女子とけんかしたら、両方手をだしていても、男子の方がいっぱい怒られる。これは差別じゃないか?
―男は昔から殺し合いとかするけど、女は子どもを産んだり、ご飯作ったり、家事をしたりするからいい。生まれ変わったら女になりたい。
―生まれ変わったら男になりたい。カンガルーは男と男でケンカしていて、私もケンカしたいから。
―男には急所があって、女とケンカすると必ず狙われる。女にもあるけど、そこを狙うと変態!って言われる。
―男になりたい。自分の性格からして、男の方が言いたいことを言えるから、自分には男があってると思う。
―男になりたいけど、歳をとったら女になりたい。女の方が家で休めるけど、男は仕事とかに行かないといけないから。
―生まれ変わっても女になりたい。先生に怒られるときに、男子の方が強く怒られている。男子はケンカもいっぱいするし、毎日怒られてるから。
―小さいときは男になりたいと思ってた。外とか自由に行けるし、お父さんとお母さんが大事にしてくれるから。
―男になっても女になってもほとんど同じ。男はケンカになって、戦とかになるけど、女は家庭のこととか気にしながら家を守り続けるから、どっちになってもめっちゃ大変。男でも女でも働くことがあるから、どっちも大変。
そんなとき男の子からこんな問いが出されました
Q 男性の長所ってどこですか? 僕が思うのは便所が簡単なところだけ。
―男は力が強い。
―女も腕相撲とか超強いよ。
―怒ると女子が強い。
―口言葉が強い女子と、強くない女子がいる。
―女子の嫌なところは、相手の悪口とかいっぱい言う。男子の方が安全。
―男子はケンカに強くて、女子は言葉に強くて、男子は言葉もこわい。
―男の人は言葉遣いを気にしなくていい。女の人は言葉に気をつけないといけない。言葉遣いが悪いとヤンキー感がある。
―大人になると女の方が一人旅行とかに危険を感じたり、結婚するときに苗字を変えろという圧力を感じたり、差別されてると思うようになった。けど、その分わかることも多いから、生まれ変わっても男と女のどっちになってもいいと思う。
―女は男があまり泣かないと思ってるから、気をあまり使わずに暴力とかふるえるけど、男は女に気をつかわないと思ってるから暴力ふるえない。
―女同士は仲良くなると男子より友情が深まるけど、その子と仲が悪くなると独りになっちゃうから男子の方がいい。
男と女のいい点、悪い点、男女に関係ないところなど、
いろんな視点がでてきたところで、準備おしゃべりは終了です。
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次は、大人と子どもの二つのグループに分かれて、
それぞれが「ずるい」の共通テーマでてつがく対話を行います。
今回は、中学生や高校生もいるかもしれないということで、
大人グループに行くか、子どもグループに行くかは年齢で区切るのではなく、
自己申告制でやろうということに決めていました。
大人グループの進行役は絵里さん、子どもグループの進行役は志帆さん。
大人グループでは、まずは絵里さんからてつがく対話についての
いくつかの心構えのような説明があります。
・自分の経験から、自分の言葉で話してください。
・みなさんのなかに絶対面白い考えがあるはずなので、それを聞かせてもらいたい。
・これが正解というものはない。
・発言したあとに場がざわつくことがあるかもしれないけど、それはコーヒーやビールの苦みのようなもの。てつがく対話のおいしさなのでそれを楽しく味わってください。
そして、最初の質問です。
Q 「ずるい」ということについて思うことなどありますか?
―「ずるい」には言う人と言われる人の両方がある。「ずるい」という状態には得をする人がいる。得するとは、正当な何かに対して与えられてないものがあって、それが「ずるい」ということ。
―自分がお菓子を一口で食べると、子どもに「ずるい」と言われた経験がある。
―「ずるい」と思った経験がない。今の生活を楽しんでいるから、「ずるい」と思う時間がもったいない。
―長女にお使いを頼むと次女がそれを「ずるい」という。自分の気持ちとしては長女の方に嫌な仕事をさせているつもりだけど、次女にとってはそれが羨ましい行為。「ずるい」というのは受け取る側の感情に左右される。自分の欲しいものは「ずるい」と感じる。
―列に並んでいる時に、すっと割り込んで入る人を「ずるい」と感じる。自分も我慢して並んでいるのに、そこにすっと入り込んでくる人は「ずるい」。
―「ずるい」を通り越して、「ずる賢い」と感じる人をよく見かける。はじめは「ずるい」と思っても違う見方をすると「賢い」のかなと思うことがよくある。
Q 「ずるい」のなかで、「賢い」と「得している」にはどういう関係にあるんだろう?
―「ずる賢い」ということを考えると、ふるさと納税を思い出す。税金をうまく使えて賢いんだけど、お金持ちが得をする仕組みでずるいと思う。賢く得をしてるんだけど、仕組み自体に「ずるい」ところがある。
そんなとき、参加者の男性から、「男女」の問題でもっと「ずるい」について考えてみたいという提案があって、こんな問いがだされました。
Q 一般論として、男の人が女の人を「ずるい」と思う人が多いと思うけど、女の人が男の人を「ずるい」と思うときはどんなときだろう?
この問いに場がざわざわっとどよめきます。
男の人が女の人を「ずるい」と思っているのは、一般論なの??
―女性であることで得するような性質をうまく使う人は「ずるい」けど、たとえば結婚詐欺師のように、その仕組みを理解して考えた上で、うまくそれを使ってる人は「ずる賢い」。単に得するだけだと「ずるい」んだけど、どうやったら得になるか考えてやっていると、ずるを賢く使っているので「ずる賢い」。
―男性が女性のことを「ずるい」と思っているのと同じくらい、女性も男性のことを「ずるい」と思っているのでは?
―男性が女性を「ずるい」と思っていたなんて!というビックリ感があった。なにを「ずるい」と思っているのか具体的に聞きたい。
ということで、先の問いを出した男性に、もう一度コミュニティ・ボールがまわってきます。
―個人の気持ちでいうと、自分は今の男を楽しんでいて、次に生まれ変わるなら女を楽しみたいと思っているので、個人的には「ずるい」とは思っていない。でも、男女の自殺率を考えると男性の自殺率の方が圧倒的に多い。男性が家族を養うという義務を不当に背負っていて、それが女の方が「ずるい」と思うことの一つの理由。
この話をうけて、それぞれの性に対して「ずるい」と思う話が口々に挙がります。
―子どものころから男の方がいいなと思っていた。働いている男性に対して、専業主婦などの女性は男性の影響を受けやすい。男性の方が安定感があっていいと思っていた。でも、実際に母になった体験からは、女の不安定感ゆえにできることもあると思えるようになった。
―服を買うときに、圧倒的に女性服のフロアが大きいし、色のバリエーションも女性服の方が多いので、女性は優位だなと、羨ましい。男性の方は社会的にシステムが優位に作られていると感じる。
―男の方が年をとったときにいい感じに年を重ねて、円熟していくイメージがある。女性は年をとると下り坂になる一方のイメージがある。
―女性はホルモンの関係もあって、そこに翻弄されて不安定感が一生を通じてある。俳優とかを見ても年取った男の方がいい感じがあって羨ましいと思ったりもするけど、中年以降になって、不安定な女も、不安定であるがゆえにいろいろ試せて面白いかもと思うようになった。
―テレビや芸能界だといい感じに年を重ねた俳優の男性などが目に付くかもしれないけど、実人生では、シニア以降の男性の社会参加はとても少なくて、女性の方がすごく元気。女性は不安定がゆえにたくましくなっていくんじゃないか。
―性別によってどちらかが得する社会の仕組みがある。男性が収入を得るというシステムがあって、そこに女性は入りにくいけど、男性は退職するとシステムとの接点が切れて、地域との接点も少ないから、シニアになるとつながりが少なくなる。
―自分の家もそうした男女の役割分担になった仕組みになっているけど、理想は男と女も同じく働いたり、社会参加したりできる社会がいいけど、どうやったらそうなれるかわからない。
―うちの夫も私を養わないといけないと考えていて、養わないといけなくて忙しいから家事ができないという。でも、私も仕事をしているから、仕事を減らして家事をする時間を多くしてもらえると助かる。一方で、私も夫の世話を女性がしないといけないと考えている自分もいる。両方バカだなと思う。
「ずるい」の話をするなかで、「羨ましい」という言葉がちらほら耳につきます。
ここで絵理さんから、また少し視点を変えるような問いが出されます。
Q 男はこんなところがいいな、女はこんなところがいいなと、お互いに思うところがある。この「いいな」という気持ちが、「ずるい」に変化する瞬間はいつだろう? 「羨ましい」と「ずるい」はどう違うんだろう?
―相手が自分が思いもつかなかったことを考えついたりやったりするときに「ずるい」と思う瞬間と、自分の力ではどうしようもないことに怒りがわいたときに、「ずるい」「理不尽だ」と思うような二パターンがある。
―何かわからないけど自分が守らないといけないと思うモヤモヤした気持ちを、「ずるい」という言葉で表している。受け取る側によって「ずるい」の意味は違うんだけど、こうしたモヤモヤした気持ちが「ずるい」という共通の言葉で表されている。
―学校では男女平等ということでやってきたのに、いざ就職になると女はつきたい職につけなかったり、お茶くみをさせられたり、社会システムに男女の差別は色濃くある。
―はじめて就職した会社では、女子社員だけが始業前に朝の掃除をしないといけなくて、男子トイレの掃除も会社のルールとしてさせれていた。男は「ずるい」と思っていた。
―「ずるい」というのは近い人に対してしか「ずるい」と思わない。手の届かないものには「ずるい」とはあまり思わない。
―身体と心の性別が違うトランスジェンダーだと「ずるい」と感じないんじゃないか。
―男がやってもできることもあるけど、男と女の違いもあって、女の方が細かいところに気がつく。子どもの様子がおかしいことに奥さんは気付くけど、僕は気がつかない。トイレットペーパーを買うときに、安いか高いかはほとんど気にしないけど、奥さんは気にする。お茶出しにしても、女の人の方が自然に気配りができるような気がする。でも、女の人の知恵だったものが、そういうものだとルール化されることでおかしなことになっている。
―自分が家事をやっているときに旦那さんがテレビを観ていたりすると「ずるい」と思うけど、自分がだらだらしてるときに旦那さんが家事をしていても何も思わない自分が「ずるい」と思う。でも、家事をやってくれた後にやり残しをみつけるとイライラしちゃう。やるべき仕事の内容をルーティーン化して示せるとうまくいくことがあるけど、それはうちの旦那さんにあった仕方で、「性別」というよりは「個性」の違いかも。
―夫がいないときに家事を済ませていると、夫がそういう家事のこと自体を知らないことがあるので、最近はわざと夫の目の前で家事をすることにしている。それまでは夫が「ずるい」と思っていたけど、目の前で家事をするようになって、夫から「そういうことをやってくれてるんだ、ありがとう」という言葉をきくようになり、「ずるい」と思わなくなった。
―日本は「内助の功」を美徳とする文化があるので、支えているということをあえて見せないというところもある。それを何も感じずに受け入れてる人もいるけど、この抗えない社会の構造に抑え込まれている人もいるから、声を挙げていけるといい。
―認めてもらえてないことで「ずるい」という気持ちがでてくる。
―家事をやるとすごいでしょ、僕もやってるじゃん、と思っているけど、奥さんがやってることに「ありがとう」とは言ってないということに気がついた。
―「内助の功」に憧れてるところもあるけど、夫は大事だけど、夫の仕事は自分の仕事よりも大事ではない。何に重きを置くかによって違ってくる。
―旦那は家事をまったくしないけど、「ずるい」とは思わない。前にベンチャー企業で働いていて、大変な仕事の環境だった。男性は女性よりもさらに何かを背負っているようだったので、家事をしなくても、会社で頑張ってくれてるだけで十分だと思う。
―「羨ましい」はどうしても手が届かないことに対して思う。「ずるい」というのはどうにか対処すると何とかなりそうなものに対して思う。
―羨ましい=隣の芝生は青く見える。でも、内情は火の車かもしれない。わからないから羨ましいと思う。ずるいは、視点の取り方。子どものときに、毎日遊んでいた広場をボーイスカウトが土日に占有してしまうときに、「ずるい」と思った。
―家事をしたら男の人にありがとうと言われたいし、髪を切ったら可愛いねと言ってもらいたい。
―言われるのを待ってるだけじゃなくて、可愛いでしょうって自分から口に出すのも大切かも。
というところで時間がきて終了です。
「ずるい」についてのお互いの経験や、
男と女の違いについての思いを共有するなかから、
男性と女性に対する社会システム上の差別の問題差別があるがゆえに背負わされた責任の重さや、不安定であるがゆえに、それを受け入れた先に生まれるたくましさなどにも話が発展する一方で、
「ずるい」と感じる人と感じない人の違いはなんだろう?
「ずるい」と「ずる賢い」の違いはなんだろう?
「ずるい」と「羨ましい」の違いはなんだろう?といった、
「ずるい」という言葉の吟味による、てつがく対話ならではといえるような問いによって、
「ずるい」が生じる「他との関係性」における「状況」や「構造」の話だけには終わらない、
「ずるい」に対する「自己」の「思考」や「前程」の検討を促すような、
お土産の問いももらえたように思います。
*************
休憩をはさんで、
次は大人と子どもがまた一緒の輪になってそれぞれに話した内容を共有します。
大人にとっては、子どもの対話の内容を聴くこの時間が、いつも楽しみ。
子どもグループの対話の様子を志帆さんが話します。
スタートの問いは大人グループとほぼ同じ。
Q どんなときに「ずるい」と思うかな?
―学校で女子の言うことをきかなきゃいけないと言われるとき。
―ちゃんと謝っているのに、上から目線で話されるとき。
―お姉ちゃんの都合にあわせないといけないとき。
―ママとお買い物に行くときに、ママはお金をもってて高いものを買えるのに自分は買えないとき。
―中学に行ったら女の子はスカートなのに、男の子はズボンがはけるから「ずるい」。
「制服」の話から、子どもたちはズボンとスカートについて話しはじめます。
―女の子はズボンとスカートがはけてバリエーションがゆたか。
―女の子でもズボンが好きなのに、かっこいいズボンの種類が少ない。
そして、子どもからこんな問いがでてきます。
Q 女の子はなんでスカートはかないといけないんだろう?
Q 男の子はなんでスカートはいたらいけないの?
―男は男らしくした方がカッコイイ。女は女らしい方が可愛いから、女の子はスカートをはいたほうがいい。男の子はスカートはいちゃだめ。
―人それぞれ個性があるから決まりに従わなくてもいい。
―男の子も可愛い子がいるからスカートはいても似合うんじゃない?
―でも男の子がスカートはいてると笑われる。
―でも女の子はスカートはいてもズボンはいても笑われないし、似合う。
Q 男らしい女らしいって何?
―「~らしい」は「~みたい」とか「様子」ということ。
―男の子は跳び箱5段とかとべるとカッコイイのが男らしい。
Q 「~みたい」とか「様子」ってどういうこと?
志帆さんからの、よりつっこんだ問いに対して、
子どもたちはしばし沈黙。
そんなとき、「ずるい」の話をずっと考えていた年長の女の子から、
話せるチャンスと、こんな話が出てきました。
―パーティでケーキをもらえなかったら「ずるい」と思う。
この話をきっかけに、子どもたちはもう一度「ずるい」の話に戻ります。
―同じだけもらえたら「ずるくない」。
―自分だけたくさんもらえたら「ずるい」と思わない。
Q なんで「同じ」だったり、「自分だけ多い」と「ずるい」と思わないの?
―みんなで分かちあえるから。
―うれしいから。
そんな中、こんな言葉が出されます。
―「平等」だといい。
Q 「平等」って何?
―みんな「等しい」こと。
―「ずるくない」こと。
―「損得がない」こと。
Q みんな「等しい」ってどういうこと?
―同じだけってこと。
Q 一つのケーキを、ぞうさん、ありさん、ねずみさん、わにさんに同じ大きさに切ってわけたら、これって平等?
―そう!同じだけ食べることが平等!!
―違う!ぞうさんは足りない!平等じゃない!!
子どもたちは激しく意見を言い合いながら、
「平等」ってなんだろうと知恵を絞って考えます。
―ケーキを切らなければいいんだよ。
Q どうやって食べるの?
―みんなでケーキを必要な分だけ食べるんだよ。
―それいいね!!
Q でもぞうさんが一口で食べちゃってケーキがなくなったらどうしよう?
―もう一個買えばいい。
Q 食べきれなかったらどうする?
―食べなきゃいけない人、もっと食べたい人が食べたらいいんじゃない?
―みんなが「笑顔」になるのが「平等」かも。
一つのケーキをどう分けるかという考えに、
そもそもの前程を疑って、
ケーキは一つではないという視点が持ち込まれたり、
平等に笑顔を対置させたりと、
子どもの切り替えの発想の妙にはいつもうならされます。
ケーキの話は一旦落ち着き、ここでまた男女の話に戻ります。
―男と女なんていらない! 男の人の体でも心が女の人もいるし、逆の人もいるし決めなくていい。
―男と女は絶対にいる!いないと人類が絶滅して大変なことになる。
そこへまた、新たな「言葉」という視点が加わります。
―男と女は必要なんだけど、男と女という「言葉」がいらない。
―男とか女とかを表す言葉は1つでよくて、「○○」か、そうでないか、それでいい。
―一つあるってことは、結局今と同じ。
―身体は男の子だけど、心は女の子もいて、男と女の二つだけじゃないから一つだけにするのはダメ。
とまた盛り上がってきたところで時間がきて終了。
子どもグループでは、男と女の「ずるい」の違いから、
「~らしい」、「平等」、「言葉」についてと、
とても根本的な問いへと話しは展開していったようです。
ついつい、大人顔負けの対話、と言いたくなりますが、
大人はなかなかそんな対話はできません。
別々に対話を体験してから子どもの対話の様子を聴くと、なおさらその感慨は深まります。
会の後で進行役の志帆さん、絵里さんともお話していたのですが、
大人は大人で複雑で絡み合った、一筋縄ではほぐせないような対話が繰り広げられることになり、それはそれの良さがありますが、
子どもの方がシンプルな本質に近づく対話に至る場合が圧倒的に多いように感じます。
*************
「てつがく対話で男女共同参画」は、今回はじめての試みでしたが、
「ずるい」ということを手がかりに、
大人も子どもも、女と男の違いや差別だけに限定されない、
様々な視点に耳を傾け、自分の心にも問いかけるような場が生まれたように思います。
一人で考えるのもいいけれど、
みんなと一緒に「謎解き」をすると
いろんな意見がきけてさらに楽しい♬
進行役の絵里さん、志帆さん、
ご参加いただいたみなさま、
ありがとうございました。
(犬てつ ミナタニ)
by inutetsu
| 2019-02-05 14:43
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